NEOMの未来都市プロジェクト「The Line」は、2026年現在、当初発表された壮大な全体構想から実際の建設フェーズへと移行していて、建設は初期区間に集中して進められていると報じている。
当初は全長約170km・高さ約500mの直線都市として計画されていたが、現時点では最初の約2.4km区間の建設が優先されているとし、報道によってはモジュール45〜47周辺が初期対象エリアと指摘されているが、詳細な区画指定については公式発表が限定的です。
完成スケジュールについても、当初イメージされていた2030年までの大規模実現から、段階的な長期フェーズ開発へと見直されたとする見方があり、2030年時点で完成するのは全体の一部にとどまる可能性が高いと報じられている。
こうした計画見直しの背景には、巨額の建設コスト、財政的負担、技術的課題、運用面での複雑さなどが影響していると分析されています。
◆ 財政・コスト面の圧力
• 「The Line」は、総額5,000億ドル規模とされるNEOM計画の中核プロジェクトであり、全体コストがさらに膨らむ可能性も指摘されていて、資金の多くを担うサウジアラビアの公共投資基金(PIF)にとって、長期的な財政負担は極めて大きいとみられている。
• 原油価格の変動や国家歳入の不安定さにより、「Vision 2030」に含まれる複数の大型プロジェクトを同時並行で推進する難しさが増しているとの分析もあり、その結果、NEOMおよびThe Lineの予算や優先順位が見直されていると報じられている。
◆ 工期遅延と組織運営上の課題
• 一部サブプロジェクトで予算超過や工程の遅れが発生していると報道されていて、NEOMの経営体制についても変化が生じ、CEO交代など、組織再編の動きも確認されている。
• 2024年以降、組織の効率化や体制再構築の一環として、人員調整や拠点再編が進められているとの報道もあるが、具体的な削減割合や影響範囲については情報源によって差がある。
◆ 技術・インフラ面での現実的課題
• 全長170km・高さ500mの直線都市という構想は、地盤条件、耐震設計、水資源確保、エネルギー供給、廃棄物処理、交通インフラの統合管理など、極めて高度かつ前例の少ない技術課題を伴う。
• まずは約2.4km規模の初期区間に建設を集中させ、段階的に拡張する方針に移行していると報じられている。
◆ ビジョンの再調整と優先順位
• クロウンプリンスである、ムハンマド・ビン・サルマンが、初期構想の規模やスケジュールについて現実的な再評価を行っているとの見方もあるが、公式には「縮小」ではなく「段階的実行」と説明されている。
• 2030年万博(リヤド)や2034年FIFAワールドカップなど、他の国家的プロジェクトへの投資も進んでいて、国家全体の資金配分の中でNEOMの位置づけが調整されている可能性がある。

NEOMの公式発信では、依然として「全長170km・人口900万人規模」「道路や車のない都市」「排出ゼロ」「国土の95%を自然保護」「徒歩5分圏内で生活完結」「都市の端から端まで20分」といった理想的なビジョンが前面に打ち出されている。
一方で、複数のメディアやアナリストは、こうした長期ビジョンと、現実の建設進捗やフェーズごとの調整との間にギャップがあると指摘していて、特に約2.4kmの初期区間が実質的な第一フェーズとして位置づけられる可能性が高いとの見方も出ている。
■ 2026年以降の焦点
• 約2.4km区間における初期モジュール、住宅、基幹インフラの段階的な実用化
• グリーン水素プラントやデータセンターなど、NEOM内の周辺産業インフラとの統合・連携
• 「Vision 2030」全体の財政状況との整合性、ならびに2034年FIFAワールドカップなど国家的プロジェクトとの優先順位調整

2026年春にサウジアラビアの首都リヤドで開催予定の世界経済フォーラム(WEF)ハイレベル会議は、「The Line」やNEOMを含むVision 2030の国際的な発信の場として注目されていて、サウジ政府にとっては、経済多角化戦略の進捗を対外的に示す重要な機会と位置づけられている。
◇ 会議の位置づけと目的
• サウジは、リヤドをWEF関連会議の継続的な開催地とすることで、中東地域の経済・外交ハブとしての存在感を高めようとしている。
• 会議では、気候変動、エネルギー転換、インフラ、スマートシティ、デジタル経済といったテーマが主要議題になるとみられていて、「The Line」が掲げる未来都市・持続可能性の理念とも重なる分野が中心になる見通し。
◇ 「The Line」との関係
• サウジ政府は、WEFの場を通じてVision 2030の進展を発信していて、「The Line」はその象徴的プロジェクトとして紹介される可能性が高い。
• 実際の建設は段階的フェーズへと移行していると報じられているため、国際舞台では長期ビジョンと初期区間の進展を組み合わせた形で説明されるとの見方もある。
◇ 政治・投資戦略上の意味
• リヤド開催のWEF会議は、サウジが石油依存型経済からの転換を図っている姿勢を示す外交的イベントでもあるため、NEOMやThe Lineは、その変革の象徴として外国投資家や技術パートナーへのアピール材料となる。
• 2026年というタイミングは、NEOMの進捗や計画見直しが国際的にも議論される中で、プロジェクトの現実的進展を強調する機会になる可能性がある。
実務上はフェーズ化が進む一方で、国際舞台では依然として『未来都市の旗艦』として提示される。
その二重構造こそが、2026年リヤドWEFの象徴的意味といえるかもしれない。

