コネクテッドカー(Connected Car)とは、インターネット通信機能を備えた自動車のことで、常時ネットワークに接続され、車両のシステムや機器との情報のやり取りや、センサーで車両の状態や周囲の道路状況の情報収集など、ネットワークを通じてデータを分析・活用することが可能です。
コネクテッドカーが提供する主なサービスや機能
•リアルタイムの交通情報や駐車場の空き情報の取得
•事故やトラブル時の自動緊急通報
•テレマティクス保険(運転状況に基づく保険料算定)
•車両盗難時の位置追跡
コネクテッドカー市場は急速に拡大し、2022年時点で多くの新車がコネクテッド化されていて、2025年には新車販売台数の約80%がコネクテッドカーになると予想されています。
2025年現在、コネクテッドカーが提供するインフォテインメント
※インフォテインメント(Infotainment)とは、「Information (情報)」と「Entertainment (娯楽)」を組み合わせた造語で、主に自動車の車載システムにおいて使用される概念です。
1.高度な車内エンターテインメント
• 大型化したセンターディスプレイで、映画やスポーツの有料コンテンツを視聴できる
• クラウドゲームとの連携により、人気の高いゲームタイトルを車内でプレイすることが可能になっている
2.AIを活用したパーソナライズされた体験
• 「セレンス・ツアーガイド」のような機能により、観光地に近づくとAIが自動的に高品質な音声で見どころを紹介
• ユーザーの好みやアクティビティに基づいて、パーソナライズされたコンテンツレコメンデーションが提供される
3.シームレスな接続性
• スマートフォンとの連携だけでなく、Apple Watchなどのウェアラブルデバイスからも車両の操作や情報確認が可能になっている
• プラットフォームやアプリ、メディアタイプの垣根を越えた統一されたインフォテインメント体験が実現している
4.拡張された機能
• 車内での決済が可能になり、ガソリンスタンドや駐車場での支払いがスムーズに行える
• Amazon Alexaとの連携により、車内でAlexaの機能を利用できるようになっている
5.リアルタイム情報の提供
• 走行ルート周辺の観光スポットや飲食店のレコメンド、最新の地図情報の自動更新など、リアルタイムの情報提供が充実している
システムコネクテッドカーの普及により、交通安全の向上、効率的な運行、快適性の向上などが期待されていますが、ハッキングなどのセキュリティリスクも懸念されていて、メーカーやユーザーによる適切な対策が必要です。

テレマティクス保険とは、自動車に搭載された通信端末を通じて取得した運転者の情報を保険料の算出に活用する自動車保険で、「テレマティクス」という言葉は、「Telecommunication (通信)」と「Informatics (情報工学)」を組み合わせた造語です。
テレマティクス保険の主な算出方法
1.走行距離連動型(PAYD : Pay As You Drive)
2.運転行動連動型(PHYD : Pay How You Drive)
◇ PAYD型
• 実際に走行した距離に基づいて保険料を算出
• 車載端末から送信された実走行距離データを保険会社が受信し、そのデータを基に保険料を決定
• 走行距離が長いほど保険料は高くなり、短いほど安くなる
◇ PHYD型
• テレマティクス技術で取得した運転者の運転挙動を基に保険料を算出
1.運転日時、運転総時間、頻度
2.運転距離
3.運転場所
4.最高速度、平均速度
5.アクセル・ブレーキの操作(強さ、頻度)
6.車線変更(速度、頻度)
7.コーナリング
8.エンジン回転数
保険会社は、共通部分(約80%)と差別化項目(約20%)を組み合わせて、具体的な算定方法を決定しますが、詳細な算定ロジックは各保険会社の競争領域であるため公開されていません。
テレマティクス保険は、2014年に国土交通省が重点テーマの一つとして掲げて以来、大手保険会社を中心に導入が進んでいます。
コネクテッドカーは、スマートシティ構想とも密接に関連し、今後さらに重要な役割を果たすと期待されています。