プロジェクト・カイパー(Project Kuiper)は、Amazonが推進する低軌道衛星(LEO)を利用した衛星インターネット通信サービスで、このプロジェクトは地球全体に高速かつ安定したインターネット接続を提供し、デジタル格差(デジタル・ディバイド)を解消することを目指しています。
Amazonは、このプロジェクトに100億ドル以上を投資していて、2025年から2026年には初期商用サービス開始が予定されています。
また、米連邦通信委員会(FCC)から2026年7月30日までに全衛星の半分(1,618基)の打ち上げを完了する条件が課されています。
プロジェクト・カイパーは、地理的に離れた地域や人口密度が低い地域でのインターネット接続不足を解消するために設立され、従来の光ファイバーや基地局設置が困難な地域にもアクセス可能にすることで、教育や医療などの分野での格差是正を目指しています。
Amazonは2025年4月9日(米国東部時間午後12時、日本時間4月10日午前1時)、フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地からユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)のアトラスVロケットを使用して、プロジェクトカイパー初の商用衛星27基を打ち上げる予定です。
この打ち上げは「KA-01 (Kuiper Atlas 1)」と呼ばれるミッションで、衛星は地球低軌道(LEO)の高度約450~550キロメートルに配置され、最終的には3,236基の衛星を展開し、世界中に高速インターネットを提供することを目指しています。
すでに市場をリードしているスペースXのスターリンクや、ソフトバンク支援のOneWeb、中国のSpaceSailなどとの競争が激化する中で進められていて、今回の打ち上げは、昨年10月に行われた試験衛星の成果を踏まえたもので、最終設計された商用衛星が宇宙環境で、どのように機能するかを確認する重要なステップとなります。

NTTグループ(NTT、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ)とスカパーJSAT株式会社は、2023年11月28日にAmazonのプロジェクト・カイパーとの戦略的協業に合意しました。
日本は、アジア太平洋地域で初めてプロジェクト・カイパーとの協業を実現した国で、この成功は日本市場だけでなく、アジア全体への展開を視野に入れた戦略的な意義を持っています。
- 日本市場での通信課題解決
日本国内では、山間部や離島など地理的条件による通信インフラの整備が難しい地域が存在し、この提携により低軌道衛星を活用して、これらの地域に高品質なインターネット接続を提供し、通信格差を解消することが目指されています - 災害対応力の強化
日本は自然災害が多い国であり、災害時における通信インフラの耐障害性(レジリエンス)と冗長性が重要で、プロジェクト・カイパーを活用することで、災害時にも安定した通信サービスを提供できるネットワーク構築が可能になります - スターリンクへの対抗
SpaceXの「スターリンク」が日本市場で先行している中、AmazonとNTTは競争力を強化するために提携することで、日本国内での衛星通信市場における選択肢が増え、技術革新とサービス品質向上が促進されます - 法人向けソリューション拡充
提携は企業や自治体向けにIoT活用や、遠隔操作などの高度なソリューションを提供することを目的とし、AWS(Amazon Web Services)との連携により、AIや機械学習など最先端技術へのアクセスも可能になります
打ち上げはULA公式ウェブサイトで約20分前からライブストリーミングされる予定です。