メタバースは「Meta(超越)」と「Universe(宇宙)」を組み合わせた造語で、インターネット上に構築された3次元の仮想空間のことを指します。
VRは、仮想空間を現実のように感じ取れるデバイスや技術で、専用機器が必要ですが、メタバースは、インターネット上の「仮想空間」で、VR機器がなくても利用可能です。
メタバースの定義と特徴
• インターネットを介して利用する3D仮想空間
• アバター(自分の分身キャラクター)を通じて他者とコミュニケーションが可能
• 常に時間が流れ続ける持続的な世界
• 現実世界に限りなく近い状態で活動できる
メタバースは技術の進歩とともに発展し、今後さらに多くの分野での活用が期待されていて、映画のような没入感のある仮想世界の実現や五感の再現など、さらなる可能性が広がっています。
初期のメタバースプラットフォーム
• 1995年に『Active Worlds』がリリースされ、ユーザーが3D空間を作成して交流できるようになる。
• 2003年に『Second Life』がリリースされ、より高度なカスタマイズ機能や経済システムを導入し、仮想通貨「リンデンドル」を使用した経済活動が可能になる。

メタバース市場は、マッキンゼー・アンド・カンパニーのレポートによると2030年までに720兆円(日本全体の経済規模に匹敵する)に達する可能性があると予測されていて、教育、ビジネス、エンターテインメントなど、さまざまな分野での活用が期待されています。
2030年 業界別の予測(マッキンゼー・アンド・カンパニー)
• EC業界:288兆円〜377.4兆円
• 教育分野:25兆9,200億円〜38兆8,800億円
• 広告業界:20兆7,360億円〜28兆8,864億円
• ゲーム市場:15兆5,520億円〜18兆円
ブロックチェーンとNFT技術の発展により、メタバース内での所有権や、取引の問題が解決されつつあり、メタバース内でのビジネスや経済活動がより現実的になってきていますが、準備に手間やコストがかかる、セキュリティの脆弱性、法律の未整備、デジタル格差の拡大などの課題も存在します。

ビジネス活用法の具体例
- ウォルマート:メタバース上で混雑等の状況を再現した研修を実施
- DHL:倉庫でのピッキング作業の効率化にメタバースを活用
- 川崎重工:工場を丸ごとメタバース化する計画を発表
- 三越伊勢丹:独自のメタバース空間を構築し、新たなEC体験を提供
- 日産自動車:VR chat上で新車発表・試乗会を開催
- ローソン:アバター接客スタッフを募集し、バーチャル店舗を運営
- ニトリ:家具や設置場所を測定し、サイズ違いの不安を解消するサービスを提供
- スタンフォード大学、角川ドワンゴ学園:メタバースを活用した教育プログラムを提供
- JPモルガン:Decentraland上に仮想店舗を開設
- みずほ銀行:メタバース上に店舗を開設し、決済機能提供などを検討
- 東京海上日動:大災害の予測にデジタルツインを活用
- NVIDIA:業務効率化向けのメタバース構築プラットフォームを提供
- ダイキン:メタバースを活用し製造ラインのロスを削減
- 旭化成:人手不足の解消と技術継承にメタバースを活用
- 凸版印刷:「メタパ」というVR/メタバースショッピングモールを提供
- BEAMS:VRイベントに出展し、バーチャル空間での展示を通じてリアル店舗への送客
- Balenciaga:Fortniteと連携し、アバター用のスキン(衣装)を販売
- NIKE:Roblox上にVR空間を構築し、デジタルアセットを販売
- ソニーミュージック、エイベックス:メタバース上でのライブイベントやコンサートを開催
メタバースは技術の進歩と社会のニーズに応じて進化を続けていて、今後も新たな価値創造や社会的交流の場として発展していくことが期待されています。